研究室紹介

総合工学プログラムの多彩な研究室

総合工学プログラムからは工学部のほとんどの研究室に進むことができます。

ここでは総合工学プログラムからのみ進むことのできる研究室をご紹介します。

地球宇宙情報研究室

「宇宙粒子で見る宇宙」

宇宙粒子は目には見えませんが、絶えず地球に降り注ぎ大気と衝突・分裂して地表に空気シャワーとして届きます。

その空気シャワーを最先端テクノロジーを駆使して計測し、高エネルギー宇宙を探ります。宇宙、自然や物理が好きな方に最適な研究です。

チベット高原(標高4,300m)に設置した宇宙粒子観測装置

アンデス高原(標高4,740m)で銀河中心を観測する宇宙粒子観測装置

宇宙環境計測研究室

「最先端の観測技術で宇宙や素粒子に迫る」

宇宙には、星や星間ガスなどの目に見える物質の何倍もの量の見えない物質、暗黒物質が存在することが知られています。この暗黒物質は、現在の宇宙ができるまでの進化の仕方を決める重要な存在です。また、その正体は不明ですが、すべての物質を作る最小構成要素である素粒子のうち、未発見のものであると考えられています。

当研究室では、この暗黒物質の探索などの宇宙・素粒子物理学に関わる研究を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や他大学と共同で進めています。現在は、国際宇宙ステーションで稼働中の観測装置のデータ解析、南極周回気球に搭載する測定器の開発を中心に行っています。これまでにない観測技術を自らの手で開発し、宇宙や素粒子の謎に迫ります。

粒子の測定に使う光るプラスチック(ブラックライトでも光る)

卒業研究での粒子測定の様子

天体放射線計測研究室

「未知の宇宙に挑む」

宇宙線を宇宙ステーションや気球において観測するための装置を開発しています。

装置の設計から信号処理回路、データ取得システムなどの研究開発、さらには取得データの解析まで、オリジナルを追及しています。

観測装置を開発するためのビーム実験(CERNにて)

国際宇宙ステーションにおける宇宙線観測プロジェクトCALET

電子物性研究室

「多様な環境下で探す、新たな物性現象」

物質はサイズをナノスケールまで小さくしたり、極低温や強磁場中など様々な環境下におくことで、予想もつかないような新しい性質が現れます。そのような物性を見つけ出し、次世代エネルギーや医療などへの幅広い活用を目指します。

カーボンナノチューブ内部のナノ空間に閉じ込められた分子のコンピュータシミュレーションとデータ解析グラフ

物質・材料の磁性や超伝導の性質を解明するための核四重極共鳴装置

量子物性理論研究室

「ナノの世界の量子現象を探る」

量子デバイスにおける物理現象を理論的に研究しています。

ナノスケールの半導体デバイスにおいては、電子の粒子性と波動性の両方が現れ、その解析には量子力学を必要とします。 主に数学的手法を用いて未知の現象を発見・解明します。

多電子散乱状態の厳密解により計算された開放型量子ドットの電流電圧特性(Uは相互作用の強さ)

研究室の雰囲気(数式処理システムで計算中)

計算統計物理学研究室

「複雑で不思議なスピングラス」

人間社会では「みんな好き勝手なことを言うため、全ての要求は満たせない」というのはよくある話ですが、実は物理の世界でもこれと似た状況の系が数多く存在します。このようなフラストレーション系と呼ばれる系について、主に研究を進めています。

フラストレーション系では、原子・分子やスピンといった系の構成要素が、互いに長い時間をかけて何とか折り合いをつけ、最終的にできる限り多くの要求が満たされた状態に落ち着くのですが、この時に自然がどのように最適な状態を探し、その結果何が起こるのかについて、研究しています。

主な研究手法は、統計物理学と計算機シミュレーションです。また、フラストレーション系で有効なシミュレーション手法の開発なども行っています。

シミュレーションに使う計算機クラスター

シミュレーションで得られたナノ磁性体のスピン状態

計算数理科学研究室

「数学で世界を救う」

自然現象や社会現象など、私達の生活と密接に関わる現象を、数学で理論的に研究しています。現象のメカニズムを理解・解明することで、現象を制御し社会の問題解決に役立つことができます。

水が氷に、氷が水へと変化するような現象「相転移」を数学的に分析・研究した相転移学に関する数値実験

流体の運動を記述するナビエ–ストークス方程式に関する数値実験:流速ベクトルと圧力分布

数理生物学研究室

「迫力のCGで古代生物を再現」

目を見張る美しさでの古代の生態環境の再現、仮想現実に取り組んでいます。

単に映像をつくるだけでなく、生物の組織から身体能力を再現して古生物学会の定説の誤りを指摘するなど、新たな見解を導き出す面白みがあります。

植物遺伝育種学研究室

「DNAレベルで遺伝子に迫る」

地球上のあらゆる生物がもとは一つの生命だったことをあなたはご存じでしょうか。

本研究室では、何億年の時をかけて多種多様に進化した生命のゲノムを探究し、品種改良に役立てたりしています。生物学から数学まで、幅広い知識と視野が養われます。

グミ科植物の一つ、 シーベリーの収穫直前の果実です

高校生向け植物組織培養実験の開発(Brassica rapa組織片からの不定芽の再生)

植物生理学研究室

「植物の生長する仕組みを研究」

私の研究対象であるオーキシンは、植物の生長のあらゆる場面で重要なはたらきをしている植物ホルモンです。

たとえば、根が土の中にあって葉や茎が地上にあるのはオーキシンのおかげですし、葉のギザギザもオーキシンが作っています。研究室では現在、根や葉の形態形成におけるオーキシンのはたらきを明らかにすることを目指して、シロイヌナズナやトマトなどを材料に研究を行っています。

しかし、研究テーマは無限にあります。なぜなら、オーキシンは全ての植物で共通ですし、生長段階のどこを切り取っても、おそらくオーキシンが関わらない場面はないと考えられるからです。「植物」、「オーキシン」というキーワードで、幅広く様々な現象について研究を展開していくことが今の目標です。

植物栽培用の人工気象器

シロイヌナズナの根の形態